新しい車椅子がやってきました。
リクライニング機能とヘッドレストがポイント。
いろんな所が調整可能で身体各所のサポートがあり、母も私も助けられます。
介護保険を使って、月額レンタル料は自己負担900円です。
約2年前、倒れるその日まで母は車を運転し、習い事や旅行、一人暮らしの家の維持、すべてをきちんとこなしていました。
今はほぼ前後不覚。
あらゆることに介助が必要です。
一人暮らしをしていた頃の母の食卓の写真が残っています。
倒れる2年前に夫(私の父)を亡くしひとりになった母に、私と妹は1日に何度も電話やラインをしていました。
うるさいなーって思ってくれたらそれでよし。
その頃の母の日記が出てきて、ごめんねと思いながらのぞき見しました。
「さみしい」ばかりでした。
娘が来た、という記述は1度だけ、かな。月に2度は行ってたのに。
そんなに仲のいい夫婦でもなかったと思うのです。
愚痴もたくさん聞きました。
父が亡くなった後、母が言ってました。
「何が起きても、お父さんと私はここでずっと暮らしているような気がしてた」
日当たりのいいリビング。
母は台所に立っていて、こちらに背を向けています。
父は食卓の決まった場所に陣取り、すし屋でもらった大振りの湯飲みを手に、庭を眺めています。
平和で静かで、元気だったふたり。
父は病を得て4ヶ月で亡くなり、母は倒れて以来こわれたまま。
生きていてくれるんだから。
痛いことなく。
おいしいものを食べて。
添い寝して、体をさすって。
母なしで 自由になれると思うなよ こわれた母を守るしあわせ
母をあきらめる練習をさせてもらってるんです。
私はなんの悲しみも知らなかったなあ、と思います。
母の夕食
・五目寿司。よく作ります。じゃこ・さっと湯がいたレンコンを寿司酢に前日から漬けておいて、炊き立てのご飯に混ぜ込んで基本のすし飯とします。
人参・干シイタケ・筍などを甘辛く煮たものも混ぜて、胡麻・紅生姜をたっぷり。あとは、お稲荷さんの味付けで揚げを煮て(これも前日やります)まるでうなぎのように切って散らします。全部を一緒に口にいれると、五目稲荷の味、というわけです…母のまねです。
・大根のお味噌汁
・大根と人参の浅漬け
軽やかに八十路を越え、卒寿も健やかに迎え
なお美しく健康に長生きする、そんな母しか想像していませんでした。
日中の混乱が怒りに変わることが多く、今夜から睡眠薬を増やしています。
しみったれでごめんなさい。
おやすみなさい。