よく行く小さなスーパー。
あごに手をあてて今日のオススメの魚たちを眺めていると、
長いビニールの前掛けをして、長靴を履いた魚屋さんのおばさんが、
少し横揺れしながら近づいてきた。
ねえサーモンもってかない?3割引きにするからさ、と囁く。
彼女のオススメは、まず間違いない。
そして、「もってかない?」と聞いてくるときは、必ず割引してくれる。
冷凍のコロッケを揚げる予定だけど、この量ならいいか、と決断する。
まいど~という声に見送られて、レジに向かう。
駐車場までの道々、以前から彼女が誰かに似ていると考え続けていた、その答えがでた。
ロッド・スチュアートだ。
髪型とあごの線、全体の雰囲気が、ロッドなのだ。
スッキリした。
同じようなスッキリを、最近もうひとつ、経験した。
ジムのお風呂でよく見かける、たぶん70代の女性。
鶴のようにやせていて、シャキーンと背筋が伸びた、小さな人。
話したことはないけれど、他の人との会話を聞いていると、
自然食へのこだわりがあるらしく、どこのスーパーの野菜がどうのと、甲高い声で話している。
誰かに似ている。
誰だろう。
先日、天の啓示が降りてきた。
マモーだ。
カリオストロの城の、マモーだ。
ああ、すごく似ている。
スッキリした。
ジムの更衣室でマモーがトコトコ前を歩いていた。
ひらりと、タオルを落とした。
あ、マモーさん、落としましたよ、とは言いませんでしたよ、もちろん。
失礼だよね?
という話を、おいしいサーモンをペロペロ食べながら妹にラインビデオ通話で話した次の日の夜。
妹からこの写真が送られてきました。
私のサーモンがおいしそうだったのね。
かわいいとこあるわね。
でも量がすごいわね。
わさび醤油が粒あんみたいになってるわね。
ゆで卵も食べたのね。
妹よ、モラ夫との関係はだいじょぶなのか。
妹の心が心配になった、そんな夜でした。
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