沼野正子さんのエッセイ本2冊。
左は1993年発行。著者58歳。
右は2019年発行。著者84歳。
やせる必要のなかった頃に、繰り返しながめた左の本。
たとえば、お昼に作ったつゆそばが出てきます。
前日の煮物を使った、なんでもありの我が家そば。
おそばは、3分の2人前。
具は、わかめ・油揚・大根おろし・きざみねぎ・ちくわ・ぜんまい・ウチのゆず。
「なぜかこのようなものは雨の日に作ります」というコメントつき。
他の日には、同居している実母とうどん一玉を半分こして、なんでもありうどん。
具は、油揚・ネギ・ナルト3枚・麩・白菜。
母親に
「お麩や白菜が好きになったなんてあんたもトシねエ」
と言われてます。
その頃、自分より二回りほど年上だった作者の優し気なイラストと文章は、
スルスルと心に流れ込んできたものです。
時々思い出したように手にとっていたけど、ある日、作者の新刊である右の本を見つけて、即、定価で買いました。
これは赤裸々な告白本だ。
26年前の本に描かれた家族のその後。
家族の面々を描いているその絵は、以前と同じタッチながら、これが本当の姿よ、と言ってるような現実味にあふれています。
内容も、夫の死や、実母の認知症、弟との関係、自分の病など、人生後半に押し寄せる大波小波がつづられています。
大先輩が、見栄やプライドなんてかなぐり捨てて、自分の経験や思ったことを嘘偽り誇張なしで教えてくれている、そんな本。
2冊並べて、ずっと読み続ける、そばに置く2冊と決めました。
最近、電子辞書に移行すべきか、なんて思っていたけど、
お醤油の染みみたいのがついてる20年前の本をまた手に取ると、
娘が眠りにつくその脇でページをめくった頃が思い出されるのはやっぱり紙の本だから。
死ぬまでずっとそばに置きたい本の半分は既に読んだ本だと思う。
年末年始の大掃除で選りすぐろう。
小さな本棚に、あと10冊くらいの余裕を残して、それらの本を並べて、そばに置こう。そして毎日、本を読もう。
楽しみだな。
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