さまざまな母の様子を、写真や動画に残しています。
主治医に見せるための気になる症状や、食べた、泣いた、怒った、母の今。
約2年前の、つかまり立ちしている得意げな様子もあります。
今年初めくらいから、母の状態は下る一方でした。
7月の入院で、あきらめなくてはならないかと覚悟したこともありました。
記録に残る最後の笑顔は4月です。
今日、声を出して笑いました。
ほとんど泣き笑いのような笑顔ですが、確かに、笑いました。
きっかけは、「妹のこより」です。
海外在住の妹は、毎日ビデオ通話で母の相手をします。
反応の薄い母にもずっと話しかけます。
キッチンで家族の食事を準備しながら、
「お母さん、換気扇回すからうるさくなるけどいい? ごめんねえ!」
などと言い、画面に出たり入ったり。
時に、子供が顔を出したりの喧噪を届けてくれます。
今日は私と母と妹の3人でビデオ通話していました。
母は、お父さんごめんね、などとつぶやきながら、いつものブルーな感じです。
妹が、鼻の奥がむずむずするといって、
おもむろにティッシュでこよりを作り、くしゃみ誘発作戦を開始しました。
何やってんだか、と思いながら、母に添い寝している私はウトウトしてました。
「ふぇーーっくしょん!」と大きなくしゃみが出た途端、
「やだああ!」と母が言って、ケタケタっと声をあげて笑ったのです。
一瞬の沈黙の後は、歓喜の修羅場(というものがあるのかないのか)でした。
泣く私、なぜか立ち上がってこよりを動かし続ける妹。
お父さん!と言いながら笑う母。
動画!動画!と妹が、鼻声で指示を飛ばしてきます。
はい!はい!
ああ、まちがえた、携帯切っちゃった!
待って待って!もう一度かける!
いや、通話しながらだと動画とれない!!
写真でいいから!写真で!!!
携帯が切れ、妹の声が、ウェブカメラから接続状況最悪な感じでビンビン
響き渡ります。
妹の鼻腔内毛細血管が出血して、修羅場は幕となりました。
母を巡る季節には、宝物のような瞬間がいくつか準備されているようです。
体を張った妹よ、ありがとう。
今日、母は久しぶりにお豆腐のお味噌汁を4口、食べました。
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