ダージリンママ介護日記

要介護5の実母79歳を介護した娘の日記 その後

一瞬 夢を見た

むくみが改善して、手や足がシワシワしてきて、脈が落ち着いた母です。

酸素療法のおかげもあり、浅い呼吸も減りました。

顔つきも前より穏やかです。

 

先週末、娘が、

「あのさあ、ばあば、お腹すかないかなあ。ポカリだけだし。よくなるための治療じゃないから、仕方ないけど」

「もうちょっといけるんじゃないかな」

 

同じ思いが私の胸の底にも漂っていました。

むくんでカチカチだった足を思い出してはそれを打ち消し、

久しぶりに見る母の土踏まずを見てもしやもう一度、という希望が台頭する。

行ったり来たりです。

 

いつも優しく、母を慈しむ娘です。

同時に、冷静で客観的な提案や説明をしてくれる彼女。

医師として忙しい毎日を送る人です。

「もうだめなのかな」

目の縁を赤くして、母の手をさすりながら小さい声で言う彼女は、

母が愛してやまなかった孫の顔をしていました。

 

その日、主治医のところの看護師さんから電話があり、状況を報告した上で、

なんだかもう少しいけるんじゃないかって思っちゃうんです、と告白したら、

それは栄養をストップしたから楽になってるんだと思うわよ、と。

とにかく明日往診だから先生に診てもらいましょう、ということになりました。

その時、看護師さんが言ったんです。

エンシュア(栄養剤)はまだ残ってる?

あ、はい。少しあります。

再開ってことになったら、それでだいじょぶね。

確かに、そういいました。

ドキドキしながら妹だけにラインしました。

もしかしたら、まだいけるかもしれない。。。

教えてくれてありがとう。でもこの話はもうしないで。

でも言ってくれてありがとう、という返信でした。

 

往診当日。

もちろん先生は、私が看護師さんに話したことを承知です。

先生はまっすぐに私の顔を見て、

「人は、食べ物を手で取って口にいれる、それができなくなったらもう生きていられないのよね、それが自然よね。栄養を入れてお母さまが長らえたとしてそれは、ね。」

「はい、わかります」

「またむくみが戻ってきてるわね。やっぱり限界、かな」

「大丈夫?ごめんね、お母さま、今は苦しくないと思うわよ」

「このまま年は越せるような気がするわ」

 

今までと言ってることちがうじゃん!

経鼻胃管もやったし、胃ろうも造ったし、栄養だけになったし、それでも母が勝ち取った命だって、先生言ってたじゃん!

 

でも、先生の言ってることが腑に落ちもするのです。

 

そうよな。

母も私もがんばったよな。

病状が変わり、選択肢が示される度に、迷いながらも落としどころを見つけたはずが、

思っていたところに着地できずに

でも母が生きていることがうれしくてそれだけで鼻歌歌って、荒地を進む。

そんなふうに今までやってきたよな。

母の体が限界なら、それはもう、限界なのよ。

一足先にちがうとこに行くのよ。

私も後から行けるのよ。

 

 

またむくみが出始めたことに気づいた先生から

水分を1日600㎖から450㎖に減らすようにとの指示があり、

今年の往診を終えました。

 

一瞬、夢を見ました。

 

母とここで過ごす4度目のお正月を迎えられそう、これは現実です。

 

 

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