男ばかりなんです。
➀父の場合
約30年前。
母が友人との旅行で、1週間近く家を開けました。
母の出発直後、所用で実家に行った私は、おにぎりをいくつか作って父に持って行きました。
父は仕事に出ていたので、置いてきたんですね。
その日の夜、横浜に帰る前に、もう一度実家に寄ったら、
畳に座っていた父が、ササッと何かをお尻のうしろに隠しました。
なんだろなと思いながら、横目で見たら、私の作ったおにぎりでした。
娘の作ったおにぎりを食べようとしていたんですね。
隠したのはなぜかしら。
哀愁、ダダモレ。
②弟の場合
約4年前。
私が母の介護をしていた時、2,3か月に1度、弟は母に会いにやってきました。
手当たり次第買ってきたお菓子や果物をドンと置いて、母のそばに座り、
時にうたた寝をしたりして、キッチリ2時間(駐車場の都合)滞在して帰っていきます。
忙しい仕事の合間にくるのでしょう。
たいてい、寝起きみたいな髪と髭。
ある日、床屋に行って来たら、と言ったら、近くにあるか?と。
すぐそばにある、と場所を説明すると、
それは○○クリニックのところか?と。
マンションのそばのクリニックの看板を見たんですね。
ちがうよ、反対側、と説明しても、
○○クリニック?と、また言う。
ちがうって!
思わずちょっときつい言い方になります。
慣れない場所にやってきて、目立つ看板が頭に刷り込まれ、それを繰り返す。
弟にはこういうことがよくあります。
知っていることを繰り返す。
聞きたいことだけ聞く。
覚えているのは、覚えていたいことだけ。
性格ですね。
誰にでもありますが、彼の場合は顕著です。
ようやく、床屋の場所(○○クリニックとは反対側の、マンションのとなり)を理解し、帰りに寄るといって、さよならしました。
少したって用を思い出し、マンションを出て、床屋の前を通りました。
歩きながらのぞいたら、
大きな体と大きな頭を床屋の椅子にあずけて、目を閉じている弟が見えました。
肌がくすんで、じじむさい。
ほんとに行ったのね。
哀愁、ダダモレ。
③モラオ(妹の夫・モラハラ傾向あり)の場合
妹は結婚して海外在住。子供二人。
夫は上から目線で、独善的。
ダブルスタンダードで、自己中心的。
物腰は柔らかく外面はいいのですが、子供に対しても支配的。
かつて、内向的で気を使いすぎな性格だった妹は、
20年近い結婚生活で、きっつい性格になりました。
住み込みのメイドが当たり前の国ですが、妹は慣れることができず、メイドを雇うことをやめました。
子育てや家事の負担は、当然、増えます。
夫に協力を求めても、
「それならメイドを雇え」と。
埒が明かない、落としどころなし。
夫婦の会話は基本、喧嘩腰。
そんな日々。
数年前でしょうか。
ある日の夜、塾に子供を迎えに出た妹。
待ち時間にマックに入り、一息ついていたら、
険しい面持ちのモラオ入店。
椅子にどかりと座って、携帯片手にポテトをつまむモラオの背中を見つめた妹。
仕事帰り、まっすぐ帰宅せずに、マックでポテトとコーラ。
さすがの妹にも、やはりグッとくるものはあったようで。
哀愁、ダダモレだったらしい。
④夫の場合
娘が来た週末。
夫はジムに行き、
私と娘は、ランチにでかけます。
なんとなく、夫には言わずにいました。
駅に向かう坂を腕を組んで歩く私と娘。
下から、見覚えのある風采の中年男性が、心持ち首を前に突き出して、
自転車をこいであがってきます。
ちょうど曲がるところでした。
組んでいた腕をそっと外した私と娘。
夫はひとりでうどんでも食べにいくのでしょう。
哀愁、ダダモレ。
(誘えばいいじゃん)
哀愁
[あいしゅう]
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何とはなしに悲しい気持ち。もの悲しい感じ。