富士市岩本山公園から車で約30分。
母の実家があった今泉町に到着です。
歯を全開して、満面の笑みを浮かべ、がま口を握りしめた割烹着姿の祖母が向こうから小走りに近づいてきます。
「よっちゃん!」と私を呼ぶ声まで聞こえる…
すぐ先に、
「ちょうだいおばさん」と呼んでいた駄菓子屋さんがありました。
子どもたちが、
「ちょうだい!」といって、お店に入るからだと思います。
ドキドキするくらい、楽しかったな。
丘の上の中央図書館から見える景色。
やっぱり、製紙工場の煙が見えます。
紙を作るには、たくさんの水が必要で、
ここには、田子の浦あり、富士山の湧き水あり、だから製紙業が発展したんだよ、と祖父が話してくれました。
きれいな緑色の水草が透けて見える、こんな「どぶ」もあります。
このどぶの匂いを胸いっぱい吸い込むと、昔の自分に会えます。
母から禁止されていた炭酸飲料と漫画。
ここに来ると、おばあちゃんが買ってくれます。
マーガレットはほとんどが続き物で、よくわからないのに何度も読んだし、
コーラよりペプシの方が罪が軽いような気がして、ペプシを飲みました。
きっと母は知っていたと思うけど、一度も咎められることはなかった。
ひとりで来られるようになると、おじいちゃんが富士駅まで迎えに来てくれました。
でもやっぱり思い出すのは、母と一緒にきた事。
この時のことは覚えていないけど、
自分の笑顔のかわいらしさに泣けちゃいます。
このソファも、まあるいツルツルしたクッションもよく覚えています。
抱きしめて育ててくれた親に感謝を伝える術はもうないけど、
私が元気に幸せであることが恩返しです。
P.S. この右奥に寝室があり、夜、布団に入ると、ドアはパタリと閉められ、
母が低い声で、父の愚痴を親に訴えているのをよく聞きました。
子どもはすべてを知っている。理解できずとも知っている。
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