こないだはせっちゃんの話で、今回はさっちゃんです。
約30年前、同じ職場にいたさっちゃん。
先輩だけど、さっちゃん、って呼んでたなあ。
ある日、私の部屋に泊まりにくることになりました。
20代の私は一人暮らしなのに「4人家族なの?」みたいな土鍋とか、
「キャンプなの?」みたいなアルマイトの黄色いベコベコした鍋を持っていて、
←こんなの…
一口だけのコンロであれこれ料理するのが好きでした。
その日は、はりきって豚汁を作りました。
母の豚汁は具沢山だったので、私の豚汁も「炊き出しなの?」という量になります。
さっちゃん、喜んで食べてくれて、食後一息ついたときに、
こんな話をしてくれました。
小学生のさっちゃんが給食で食べた豚汁を気に入って、
お母さんに、今度豚汁作って!とお願いしました。
次の日、さっちゃんのお母さんが、
「熱いから気をつけなさいよ」
と言いながら出してくれた豚汁には、
薄切りの豚バラ肉が2,3枚と小麦粉団子が浮いていて、給食の豚汁をイメージしていたさっちゃんは、その地味な見た目にがっかりしてしまいました。
でも、口をつけたら、おいしいくてびっくり!
豚の脂がとけだした熱々のおつゆは、かつおだしが舌に当たるくらい濃くて、
脂身がほとんどの豚肉は甘くてとろけるようにやわらかく、
出汁を吸って崩れかかっている小麦粉団子はかむのを忘れる勢いで喉の奥に吸い込まれていって…
ちょっと貧乏くさくて恥ずかしいんだけどさ、といいながら、
さっちゃんが話してくれたんです。
その後、さっちゃんとは疎遠になってしまったけど、
時々、あの頃を思い出しながらつくります。
母も褒めてくれた、このおつゆ。
お醤油を薄く色づくくらい入れます。
ネギ、ゆず、一味などはお好みで。
熱々が、サイコーです。
豚バラってほんと、役者ですよね!
そういえば、さっちゃん、豚の三枚肉って言ってたなあ。
うちの父もそう言ってたなあ。
シンプルなのにこってりしたこのおつゆは、我ながらまあまあ
長く生きてきたな、などという感慨にふける味です。
ごちそうさま!
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