長谷川町子さんのエッセイコミック本、かな。
長谷川家の記録です。
戦争とその後の高度経済成長。
昭和。
家族が団結して時代を困難を乗り越え、イキイキと日々の暮らしを営み前進していく様が細やかに描かれています。
これぞ理想!と、宝石箱を見つけたような気持ちで読みました。
その後、長谷川3姉妹の末っ子である、長谷川洋子さんのこの本を見つけました。
(昨夜仕込んだ野菜スープとプラムで朝ごはん。)
長谷川洋子さんは、長谷川町子さんの妹。
一番上は、鞠子さん。3姉妹です。
以下、洋子さんの人生後半の出来事。
長谷川3姉妹は母親と共に長く同居して暮らしますが、
新居を立てる際にもめて、洋子さんは反対を押し切り独立、絶縁となります。←57歳
その後、自ら出版社を立ち上げます。←60歳
長谷川町子さんが亡くなった際、長姉の鞠子さんが「洋子に知らせてはならぬ」と厳命。人づてに知った洋子さんは、莫大な遺産の相続を放棄します。←67歳
洋子さんは、姉妹のご母堂が亡くなった際も相続放棄したとのこと。
鞠子さんは2012年に94歳で亡くなります。生前、洋子さんが送った手紙はすべて封を切らずに返送され、88歳のお祝いの花束も受け取ってもらえませんでした。←87歳
「残念に思う一方、激怒すると火の玉のようになる姉の気性が今も健在であることを知って、安心もした。」と書かれています。
絶縁からの展開を淡々と記録する洋子さんの筆致には、人生の悲喜を慈しむような達観を感じます。
愛情が氾濫し収拾がつかなくなるような出来事(洋子さんの娘二人の子育てに皆が口をだす、など)も綴られ、読後感はあたたかいです。
この、「サザエさんの東京物語」の初版発行は鞠子さんご存命の2008年。
表紙はこうでした。
鞠子さんが亡くなったあとに出版された文庫本には見慣れた長谷川町子さんの絵が使われています。
先日、夫とのギクシャクを友人に愚痴ったら、吉本ばななの「アムリタ」の一節が送られてきました。
- 各家庭には、はたからみると考えられないような問題があって、それでも食事したり、掃除したりするのには何の支障もなくて毎日が過ぎて行って、どんなに異常な状態にも慣れてしまったり、他人にはわからないその家だけの約束事があって、どろどろになっても、まだいっしょにいたりするのよね。-
ボケてからも「お父さんお父さん」と、亡き亭主を思っていた母も、父が元気な頃は文句タラタラでした。
私だってしかり。危ういバランスの夫婦関係です。
ごちゃごちゃしてるのが人生で、ちらりちらりと幸せな瞬間を見つけて味わっていこう、そう思った朝でした。
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