ダージリンママ介護日記

要介護5の実母79歳を介護した娘の日記 その後

悲しくても幸せなことがある。

 

折にふれて、

たらこ・お酒・パスタ・ガソリン、と買い物リストをつぶやきながら運転する時や、

消したと思っていたエアコンがついたままになっていた部屋に入ったときの後ろめたい爽快感に息をつく時や、

そういえば、昨日、電車の中で私のたるみ始めた目の下のまつげを3年ぶりに会った妹に取ってもらっていた時にも、

前触れなく、唐突に思い出すシーンがあります。

 

母が元気だったころ、ときどき小田原で会って食事したり、

お気に入りのリサイクルショップをのぞいたりしたものです。

小田原は、母と私の中間地点。

母は新幹線。私は小田急線。

 

あれはたしか、父が亡くなってから初めての小田原デートの時です。

いつものように過ごして、夕方、さようならの時。

「じゃね、帰ったら電話するね!」とお互い言い合い、

別れて歩き出してすぐに、私が振り返ると母も振り返っていて、弾けるような笑顔で、

ほぼ垂直に腕をあげて、大きく振ってるんです。

私も同じように、元気に腕を上げて振りました。

 

何度も思い出すこのシーン。

夕飯を食べていこうと言っても、

「あんたは早く帰んなさい」といって、

お惣菜や果物を持たせてくれる母。

父のいない家にひとり帰る母。

 

私が振り返ったその瞬間の母の顔はゆがんでました。

その顔は見なかったふりをして、笑顔でさよならした私たち。

 

その後母が倒れ、私は4年間、一日も母と会わない日はなくて、

最後まで一緒に居られました。

そして、倒れたその日から母は一度も、

「あんた、早く帰んなさい」と言うことはなかった。

それは悲しいけど幸せだった事のひとつだと思います。

 

小田原駅で売っている、このサンドイッチ弁当。

「具がものすごくシンプルでおいしいの!」と母。

 

たしかにシンプル。ハムだけ。辛子が効いてます。

初めて見たとき、これはあまりにペタンコではないか?と思ったのですが、

食べてみたら、上品なんです。

さすがお母さん。

 

小田原駅近くの、ういろう薬局。

奥が喫茶室になっていて、甘いもの好きの母と一緒に休憩したものです。

 

いつか、また、小田原行けるかな。

あのサンドウィッチ、食べられるかな。

今は、ちょっと、まだ無理っす。

 

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