ダージリンママ介護日記

要介護5の実母79歳を介護した娘の日記 その後

オールタイムマイベスト映画⑤「アバウト・シュミット」

 

2002年のアメリカ映画。

保険会社に長く勤め、家庭を持ち、娘を育て、定年退職の日を迎えた男。

退職後を共に過ごすはずだった妻が、急死。

掌中の珠と育てた娘は結婚を控えている。

 

 

主人公を演じるのは、ジャック・ニコルソン

今年86歳。

数多い出演作のうち、記憶に残っているのは:

さらば冬のかもめ」若きニコルソン36歳。ツルンとした顔、細身の体。単純なストーリーなのに、ずっしりくる。マーチが耳に残る。

「シャイニング」繰り返し見る、そのたびに新鮮に怖い。

カッコーの巣の上で」もう一度見る勇気が、まだない。

郵便配達は二度ベルを鳴らす」このニコルソンを拒める女はまず、いない。

心みだれてメリル・ストリープとパスタを食すシーンに憧れた。

愛と追憶の日々」再婚するなら、このニコルソン。

「恋愛小説家」イケおじという言葉が生まれる前から、イケオジ。

 

 

ニコルソン65歳の時の作品、この「アバウト・シュミット」には、現実がギュウギュウに詰まっている。

42年の結婚生活の惰性。

妻が死んでようやく、妻を愛していた気がするシュミット。

慈しみ育てたはずの自慢の娘は、異星人のような婚約者の家族に溶け込んでいる。


こんなはずじゃなかったことばかり。

なぜこうなったんだろう。

 

でもシュミットは強い。

娘の結婚式。

立派に花嫁の父を務めあげる。

(スピーチの後、トイレに駆け込んでいたけど。)

 

 

誰も俺をわかってくれない。

娘はバカと結婚した。

俺にはどうしようもない。

俺は弱くて、じきに、死んでいく。

明日死んでも20年後に死んでも同じことだ。

俺は死に、俺を知る人も死んでいく。

そしたら、いなかったも同じことだ。

 

ひとりの家に戻り、一瞬、滂沱の涙にまみれる。

そこでこの映画は終わり。

この涙はなんだろう。

さみしさか。

あきらめか。

なぜ何度もこの映画をみてしまうんだろう。

今はまだ、答えが出ない。

 

追記:シュミットの娘の婚約者の母親役はキャシー・ベイツ。最高です。

 

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