うちには砥石が2つあります。
旋盤工の息子である夫が買ってきた大きなものと、母がくれた細長い砥石。
いつぞや実家に帰ったときに、
お母さんの包丁はよく切れるねえ、と言ったら、
時々研いでるからね、と。
料理の前にチャチャっと研いでるよね。
うん、でもそれじゃ足りないから、時々ちゃんと研ぐのよ。
「心が静かな時に研ぐの」
その時は聞き流したんですねえ。
あとから何かの拍子に思い出したんです。
ジジババもいる、わがままな夫もいる、子供は3人、自営業、という家庭を
自らもフルタイム以上に仕事をしながら運営する全方向にバリキャリの人でした。
その母が心静かな時を選んで包丁を研いでいた。
向田邦子さんのエッセイに包丁を研ぐ話がありました。
すこうし角度をつけるのが難しい。
10円玉が入るくらい、って書いてありました。
昨夜、ゆっくり包丁を研ぎました。
皆が寝静まった深夜、ひとり包丁を研ぐ母の形相を思い浮かべながら。。。こわ。
サクサク切れるようになった包丁で、白髪ねぎをたっぷりつくって、
油淋鶏、作りました。
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